兵法三十六 勝戦計 第一計「瞞天過海」(まんてんかかい)についての解説

兵法三十六 勝戦計 第一計 「天を瞞いて海を過る(てんをあざむいてうみをわたる)」の意味を、三国志を例に解説していこう。

瞞天過海とはカムフラージュを用いて相手の警戒を緩め油断をついて目的遂行を果たすための計略である。

三国志においては太史慈の例が挙げられる。

黄巾の乱は張角の死によって鎮静化したが、依然としてその残党が各地で騒擾を起こしていた頃、北海の孔融は都昌で黄巾賊の大軍に包囲されてしまうという危機に陥る。

この時、太史慈は平原国へ援軍要請をするための使者として派遣されることになる。しかし、黄巾賊の包囲は厳重で脱出は困難を極める状況にあった。

そこで、太史慈は一計を案じることにする。

まず、太史慈は腹ごしらえをして明け方、馬に乗って城門を開けて外へ飛び出した。無論、黄巾賊はあわてて脱出を阻止しようとした。

だが、太史慈の方は悠々と城外にて弓矢の稽古を始めたのである。そして矢が尽きるとまた馬に乗って城内に戻っていった。

翌朝、また太史慈は射撃練習に出かけた。今度は昨日のこともあって黄巾兵の中には警戒するものもあれば、そうでないものもある。この日も太史慈は弓矢の稽古をして城内に戻っていった。

さて、これを繰り返すうちに黄巾兵は「またか」と思い警戒を完全に怠るようになった。警戒が緩んだことを確認した太史慈は一気に馬で駆け、包囲を突破し援軍要請の任務をまっとうしたのであった。

このように何度もやるぞ、やるぞと見せかけておいて行動を起こさない。これを繰り返して相手の警戒を解き電撃作戦を展開すること。これが瞞天過海の計略である。