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哲学者ソクラテスの言葉「無知の知」の本当の意味

「無知の知」とは、哲学者ソクラテスにかかわる言葉です。

 

ソクラテスが40才弱の時に彼の友達の一人がアポロンの神殿に行き、「ソクラテスより賢い男がいるか」とお伺いをたてたところ、これに対して巫女が、「ソクラテスより偉い男は誰もいない」という神託を伝えました。


ソクラテスは「神託の意味はいったい何だろうか?」と思い、有名な政治家・軍人・詩人などを訪ね、彼らと問答をしました。実際に自分より賢い人を発見して、事実をもって神託を反駁しようとしたのです。


ところが、この人びとは自分では智恵があると思っていながら、もっとも大切なことについて何も知らない、ということにソクラテスは気付きました。

つまり、彼らは自分に属するもの(財産、名誉等)は知っているが、もっとも大切なこと、すなわち『自分の魂のよさ』については何も知らない、ということに気付いたのです。


彼らは、それを知らないにもかかわらず、自分では知っているつもりになっている。それなのにソクラテス自身は、「自分がそのもっとも大切なことを知らない」ということを知っている。

 

(無知の知)という点で、彼らよりもソクラテスの方がより賢いという神託は正しいと考えたのでした。

 

 

以上がソクラテスの神託事件、「無知の知」のお話です。


つまり、この話から「自分は、Aを知っている。Bも知っている」ということよりも、「自分は何を知らないか」という無知の知がいかに大切かを教えています。

 

「たとえ愚かな者であっても、自分は愚かであると知っている者は賢者である。愚か者であるのに自分は賢いと思い込み、そのように振る舞う者がいたら、それこそ本当の愚か者といわなくてはならない」

 

 

 

と、釈尊もまた『発句経』で説かれています。

「自分のわからないことがある」と知っているから向上心が生まれ、「自分の理解できないことがある」という思いから尊敬の気持ちや謙虚な心が生まれます。


そして、これらのお話の通り、「自分を知ること」が、他のものを知ることよりも、いちばん大変なことです。

 

自分自身と正面から向き合い、自分の心を耕すことは、他の人に代わってもらえることではありません。 自分にしかできないことで、しかも努力や勇気の必要なことです。

しかし、自分探しのなかで見つけたことは、あなただけの宝となります。

 

耕した心の畑の中から、「自分の魂のよさ」のかけらが必ず見つかるはずです。

そのかけらを種として、おおきく育てることが、心の平和と美しさになっていきます。自分に優しくなければ、人に優しくなることはできないのです。

 

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原初段階の宗教が発達した原動力は「畏れ」です。

 

人間の想像を越えたところにある「わからない」出来事や能力、生き物や人物、あらゆるものを「神」として扱い、祀ることで人間に害を及ぼさないようにする。そこから利益を引き出そう、というのはもっと先の段階になります。神社のご神体が複雑多岐にわたるのもその名残でしょう。

 

そういった意味では、文明の進歩の分だけ、人間は「怖いもの知らず」になってきています。文明を築くということは、神に近づくということでもあるのですから。

 

逆に、そういった法に基づかない「神」に帰依するな、というのが原始仏教です。気まぐれで幸不幸を撒き散らす神に帰依するのではなく、すべてのものに一貫する法をたよりとし、その法を内在している自己をたよりとする。

 

自灯明・法灯明は、神に対するアンチテーゼとしての側面も持っています。(これは佼成会の教師補テキスト(青表紙)にもありますわね)

 

 

自分、とまでは行かなくても、「わからない」ことがわかる、ということは非常に大事です。

 

わからない部分がわかると、その部分の質問ができます。

 

「質問や意見が出ない」状況というのは、何がわからないのか気づいていない、わからないと言う状況です。会議や企画などでデータを用いるのは、そのデータを読み取ることで今まで不分明だったものが「わかる」ようになり、論点が絞り込まれるからです。

 

ひっくり返せば、「知ってるつもり」というのが、要注意でもあるということです。

 

社会のなかは、お約束でいっぱいです。

 

青はわたれ、郵便はポストへ、PCは電源スイッチで切るな、8チャンネルはフジテレビ。

 

でも、最後のフジテレビは、関東だけ。

 

フジテレビ系列の番組が見たければ、大阪に行けば、関西テレビ、名古屋なら東海テレビ、静岡ならテレしず。名古屋でNHKを見ようと思って1を押したら、民放になって驚いた人もいるのじゃありません?

 

いちいち考えていたら何もできなくなってしまうので、そんな常識レベルまで考えろ、なんていいません。

 

でも、自分が当たり前と思い込んでいて、心の柔軟さを失っている部分って、ありません?

 

見過ごしてしまいがちな部分、そこにちょっと立ち止まってみると、いつもとは違ったものが見つかるかもしれません。

 

ちなみに、昔のワタクシ、16番の研修を何度聞いてもワケがわかりませんでした。

 

でも、ある日、「わからなくっていいんだ、わからないのが今の自分なんだ」と思ったとき、水が染みるように何かが腹の底に落ちていった気がしました。

 

「わからないことがある」ということは、「それを見つける喜びがある」ということでもあります。

 

好奇心は、ワタシの大きな原動力でもあるのです。