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近衛秀麿編曲『越天楽(えてんらく)』に関する私見・雑感

 

日本ではかなりおなじみの曲です。最近は結婚式でかかる事も少なくなったのでしょうが、個人的に、ヨーロッパ的な結婚式の曲といえば、メンデルゾーンまたは、ブラームスの結婚行進曲。そして、和的に行こうと思うのならこの越天楽でしょう。

曲的に、編曲なのですが、良くできていると思います。そして、音楽だけではなくいろいろな方向から見ると興味深くいろいろと考えさせられる曲なのです。

近衛秀麿様は、公家の名家に誕生します。父は近衛篤麿、異母兄は、日中戦争時代の首相、近衛文麿です。名家の次男坊というやつの定めなのでしょうか?(笑)東京帝国大学を中退してドイツに渡っています。近衛家は公家ですので当然、雅楽を伝承していたと思われます。
 して…そのドイツ時代がもの凄く…カルロスクライバーの父でもあるエーリッヒクライバーに師事しています。親交があった音楽家も桁外れで、フルトベングラー、ストコフスキー、リヒャルトシュトラウス、ケンプ、シゲティー等々ビックネームが目白押しです。
 大正13年には、あのベルリンフィルを指揮しています。海外では、プリンスコノエと、言われていますが…まさに納得です。
 日本に帰国後は、山田耕筰と協会を作ったり、仲違い後は今のN響の前身を作ったりしました。日本の音楽会に多大に貢献した一人だと思いますが…やはり公家の坊ちゃんなのか…日本人離れしているのか…その辺は上手くいかなかったみたいですねぇ。

 越天楽はそもそも雅楽の曲です。越天楽自体も何曲かあって、ただ調が違うのですが数曲存在します。一番メジャーな曲だと思われるのは、平調の越天楽だと思います。雅楽は同じ曲でも演奏形態で、屋外用(舞楽)と屋内用(管絃)とあります。舞曲の方は屋外で舞も入ったりするので、見ていても楽しいですよ、機会があれば見に行って欲しいと思います。東京楽所あたりがおすすめです。

 曲としては、あくまで編曲ですので、オーケストラで雅楽を表現するのはかなり難しいと思うのですが、かなりそれに近い物があります。でも、あくまで当たり前ですが、別物として考えた方がよいと思います。
 編曲としまして、龍笛をフルート、篳篥をオーボエに、笙を弦に、鞨鼓をスネアにあてています。

面白い点としましては以下が挙げられますかね。

A オケでは基本的に大活躍をする弦なのですが、この曲、笙を当てているために、ひたすら伸ばしだったりするので、こんなに地味な事をさせられる事も少ないかなぁ…やはり、日本人って管と打楽器が大好きなのね?とか思ってしまいます。

B 小節がわかる。いくら日本人のオケで、日本の曲をやると言っても、西洋音楽を基としているわけですから当たり前ですけど、小節感がわかりますね。雅楽は、龍笛を空の音、篳篥を地の音、笙を天の音として、自然?宇宙?を表現していたらしく、音的にはいわゆる西洋音楽で言うヘテロフォニックに属すると思います。ですから、ある意味この3つが各々独立して音を発し世界を作り表現しているわけですから、横がきっちりと揃うということはあまりないと思います。この辺からも日本人ってリズムに弱いのかなぁ?と思ってしまいます。

C 小節によってのテンポの緩急がもの凄くあります。Bなのでわかるのですが、西洋の音楽でこんなに揺れる?事はないと思います。思いっきり強引に言うとルバート(汗)なんですが…

D この曲は平調(ホE調)なんですが…この編曲はDです。雅楽的に言いますと、壱越調というのですが、なぜこうなったのか…近衛様の考えなのか理由はわかりません…同じように壱越調の有名な曲?としましては、「君が代」がありますけど…(汗)君が代の歴史をひもとくと近衛様も出てきたような?

 

参考音源はこちらです。小節感をさりげなく出しつつも、けっこう…いやかなり揺れています。これを表現できるのは日本のオケならではだなぁっと感じました。どういう風に振ったのかは見ていないのでわかりませんが、ぜひぜひ見たっかたです