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メリーゴーラウンドの歴史を解説:パリで生まれた回転遊具

パリっ子が大好き!レトロな夢見装置

 

パリを歩いていると、たまに広場や公園でメリーゴーラウンドを見かけます。レトロな色合いでなんだか懐かしくなってしまい、ついつい見入ってしまいます。馬たちが現れては消えていくその回転運動は、なんだか美しく物悲しい。昔から変わらないパリの街並みにとても馴染んだ遊具です。遊び場が少ないパリの子供にとって、メリーゴーラウンドは気軽に夢見心地にさせてくれる貴重な存在です。しかし、そもそもメリーゴーラウンドとは何なのでしょう。その歴史は実はフランスから始まりました。

 

メリー・ゴー・ラウンドの誕生

 

日本でも馴染み深いメリーゴーラウンドはフランスで発明された遊具です。フランス語ではマネージュ(manege)と呼ばれています。マネージュとは円形の調馬場のこと。蒸気機関の誕生以前、ヨーロッパの動力は馬に頼っていました。そのため18世紀に円形の空間で馬を堂々巡りさせてエネルギーを得る炭坑用の動力装置が発明されました。その形が調馬場に似ていたことから動力装置のことをマネージュと呼ぶようになります。

1860年代に入って蒸気機関が登場すると、この装置は使われなくなります。そのときある玩具商人が古くなった動力装置を遊具に変えようと考えました。こうして仕組みはそのままで馬を木馬に変えて、今までにない「回転する木馬のおもちゃ」ができました。これがメリーゴーラウンドの始まりです。

 

最初は回転木馬はなく、「鉄輪遊び」だった

 

しかし初期のマネージュには木馬は存在せず、回転台の上の椅子があるだけだったようです。その後マネージュは19世紀頃に騎士たちが調馬場で気晴らしにやっていた鉄輪遊びと融合し、フランス独自のメリーゴーラウンドは完成していきました。その後、玩具職人による改良によって椅子が木馬などの動物に変わり、現在のメリーゴーラウンド(マネージュ)が生まれました。当初はmanege de chevaux de bois(木馬のマネージュ)と言われていたそうです。マネージュはその後アメリカにわたり、カルーゼル(騎馬パレードの意味)という名前で親しまれ、世界的に知られるようになりました。

 

騎士の気晴らしから生まれた?フランスのメリーゴーラウンドに残る「鉄輪遊び」

 

現在のメリーゴーラウンドは回転する木馬に乗るだけの遊具ですが、昔のフランスのメリーゴーラウンドは遊び方が違いました。前述した鉄輪遊びというものが当時の子供たちの間で人気でした。入場すると係の人が細い鉄の棒を渡してくれます。回転する木馬に乗りながら、その鉄の棒を使って吊るされた鉄の輪を取るのです。輪を取るともう一回無料で乗れるため、子供たちは必死になって輪を取ろうとします。この鉄輪遊びはジュ・ド・バーグ(Jeu de bagues)と言って、騎手が気晴らしにしていた鉄輪遊びの名残です。元々はフランスの騎手が円形の馬場で周遊するときにこの鉄輪遊びをしていたらしく、それが徐々に形を変えていき現在のマネージュ(メリーゴーラウンド)で行う遊びになったそうです。馬による動力装置と騎手の気晴らしの融合、それがメリーゴーラウンドの原型でした。

 

最古のメリーゴーラウンド

 

現存する最古のマネージュ(メリーゴーラウンド)はリュクサンブール公園にあるもので、1879年以来そこに置かれています。馬だけでなく象、キリン、ラクダ、ライオンなどがいて、それらの動物のデザインはオペラ座を設計したシャルル・ガルニエが行いました。パリ旅行の際には、本家フランスのメリーゴーラウンドを是非見てみてください。