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『春望(国破れて山河在り)』の読み方と意味を解説

「春望(しゅんぼう)」といってもピンと来ないでしょうが、「国破れて山河在り」というとどこかで聞いた覚えがないですか?杜甫の有名な詩です。これの解説に挑戦してみましょう。

原文

国破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥心驚
烽火連三月
家書抵萬金
白頭掻更短
渾欲不勝簪

読み方(現代仮名遣いで)

くにやぶれてさんがあり
しろはるにしてそうもくふかし
ときにかんじてははなにもなみだをそそぎ
わかれをうらんではとりにもこころをおどろかす
ほうかみつきにつらなり
かしょばんきんにあたる
はくとうかけばさらにみじかく
すべてしんにたえざらんとほっす

意味

国は滅亡してしまったけれど、山や川は元の姿のまま存在している。
(戦争で壊れてしまった)町には春が来て、草木が青々と茂っている。
戦争の絶えない時代を感じては、花にさえも涙を流し
(家族との)別れを悲しんでは、鳥にさえも心を乱される。
戦争は3ヶ月の間絶え間なく続き
家族からの手紙はお金に代えられない大きな価値を持つ。
白髪だらけの頭を掻けば髪の毛はさらに短くなり
もうかんざしを挿すのも無理になりそうだ。

解説

○国破山河在

国は滅亡したけれど、山や川は元の姿をとどめている。人間の創るものはいつか壊れるけれど、自然のものはそう簡単には壊れないということが言いたいようです。

○城春草木深

これも上と同じようなことが言いたいようです。ここで、「城」は日本のいわゆる「城」ではなく、「城壁で囲まれた場所」、つまり「町」という解釈です。昔の中国では町ごと壁で囲んで外敵から身を守っていたようで、さすが中国、スケールが違います。

○時感花濺涙

「時」は「このご時世」ということで、ここでは戦争の絶えない今の時代という意味です。「花濺涙」について、花に流した涙の意味の解釈は人によって違うかもしれません。私はすさんだ世の中にもけなげに咲く花に感動の涙を流したのだと解釈しましたが、皆様はどうお考えですか?

○恨別鳥心驚

「別れ」は、家族との別居を指すようです。「鳥心驚」の解釈も人によって変わって来そうですね。私は訳もなくこみあげてくる怒りの感情で心が乱されていると思いましたが、皆様はどうお考えでしょう?

○烽火連三月

直訳すれば「のろしは3ヶ月間あがりっぱなしで」ということですが、「のろし」は戦争に使うものなので、結局「3ヶ月間戦争が続いていた」という意味になります。

○家書抵萬金

「家書」は「家族からの手紙」。郵便も電話もないし、帰ろうと言ってもそう簡単には帰ることができなかった当時、家族と別れて暮らす人にとっては手紙が何物にも代えがたいものだったんでしょうね。

○白頭掻更短

これはそのままです。白髪だらけの弱った頭髪を掻きむしれば、どんどん毛が抜けて短くなっていくという感じでしょうか。

○渾欲不勝簪

「簪」は冠を頭に留めておくための道具のことで、よく「かんざし」と訳されます。短くなってしまった頭髪にかんざしを挿すのが難しくなってきているといった感じの意味です。